南六郷ブルース

Twitterで書ききれないことを補完するためのブログ。たぶん、読書感想文が中心。

霊鬼頼朝読了。

高橋直樹著『霊鬼頼朝』を読了した。
以下、ネタバレを含めつつ感想みたいなものを綴りたい。


おなじみの(?)ブッコフの100円コーナーで見つけたシリーズ。
タイトルの通り頼朝さんの本です。源さんちの頼朝さんね。
ある年代以上の人が「ああ、あの人ね」と思い浮かべた肖像画が実は別人だった人ナンバーワンの地位を不動のモノにしているあの人です。


っても頼朝が主人公の本ではないんです。頼朝にまつわる人たちのあれやこれやを描いた連作短編集といったところ。しかし4つの短編は密接な繋がりがあるので全部読んでひとつにまとまっておいしいですな感じ。


実朝暗殺後の貞暁の動向を描いた『無明の将軍』
壇ノ浦から義経都落ちまでを平時忠を中心にして描いた『平氏の封印』
頼朝の奥州征伐を目前にして揺れる奥州藤原氏を描いた『奥羽の風塵』
頼家謀殺から実朝将軍就任、そして暗殺までを描いた『源太の産衣』


以上4編。
どれもなかなかの読み応え。鎌倉初期の人たちが、存命中の頼朝はもちろんとして、頼朝亡きあとも「右幕下」という巨大な影にいかに影響されていたか。出番は少ないけどやはり物語の柱には頼朝がしかと存在しているのが良い。


頼朝ー頼家ー実朝の将軍3代のうつりかわり。比企氏や和田氏の族滅など、鎌倉初期の出来事をあまり知らない人も読むことで新しい知識も増えて一石二鳥。物語としても面白いのだから文句なし。


いままでまったく知らなかった作家さんだったので大きな収穫があったと言える。しかも中世から南北朝時代にかけての著作が結構あるのでどれも読んでみたくなる。

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