南六郷ブルース

Twitterで書ききれないことを補完するためのブログ。たぶん、読書感想文が中心。

冬を待つ城読了。

安部龍太郎著『冬を待つ城』を読了した。
以下、ネタバレを含めつつ感想みたいなものを綴りたい。


この本の感想やレビューを記す時、多くの人が書き出しでこう書いているので私もそれにのっとろうと思う。


「『九戸政実』という名前を知っている人はまずいないであろう。」と。


戦国時代の人なので、信長の野望とかで知っている人はいるかもしれない。炎立つの著者である高橋克彦に九戸政実を題材にした著作があるのでそれを読んだ人もいるであろう。あるいは奥州史に格別の造詣がある人は何をした人物なのかまで理解しているであろうけども、そう多くはいないんじゃぁないかな。


いったい何者なのかを簡単に説明すると、小田原征伐を終えた豊臣秀吉が天下統一の仕上げとして乗り出した奥州仕置に反発して乱を起こした人ということになる。


九戸勢3,000に対し奥州仕置軍60,000というのぼうの城も真っ青な無茶苦茶な戦力差である。 いかにして九戸政実はこの大軍を相手に「勝利」を手に入れるのか?といいうのが本著の見どころである。 背景にある奥州(蝦夷)の複雑な歴史や、朝鮮出兵まで睨んだ政治的な策謀等、単純に合戦を魅せるだけでないのも面白いところである。


余談だが寡兵と大軍の戦いといえばまず桶狭間や厳島を思い浮かべるが、それ以上の戦力差となると日本史なら千早城の戦い、中国史なら淝水の戦いになるだろうか。足止めしただけの千早城に対し、淝水の戦いは7万で100万の軍に勝ってるからおそろしい。

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